お知らせ つぶやき

科博で、ミイラ展

科博で、ミイラ展をやっている。

ポスターを見て思い出したことがあった。
もう今から30年以上前、初めてニューヨークのメトロポリタンにいってウロウロしていたら、がたいの大きな黒人のおじさんに、突然
“ミイラ、ありますよ”
とささやかれたのだった。
えっ?なぜ、私はこの人のいっていることがわかるんだろう?と一瞬焦ったのだが、答えは簡単でそれが日本語だったからである。
他の客も大勢いたのに、なぜか私にだけ唇に指を当てて“しっ、こっちこっち”と囁きながら、彼はミイラ室に連れていってくれた。
確かにそこにはミイラと埋葬品が山のように並べられていてたいそう面白かった。
“ありがとうございます”といってお辞儀をしたら、おじさんはこれまた日本語で“どういたしまして”といい、嬉しげにスキップして行ってしまった。
帰ってからつらつら考え、ようやく、私は日本の小学生に間違えられたのではないか?ということに思い至った。
その前にMoMAにいったときも、きっちりお金をだしたのになぜか窓口でおつりが返ってきて???と思ってチケット料金を見たら、エレメンタリー、とかいてあったり、エスカレーターに乗っていたら、あら、日本人の子どもよ、という白人のおばさんたちの声が聞こえ、へー、どこに?と思って見回したら誰もいず、あっ!私のことか!?ということがあったり、デパートの服売り場で、私のサイズはどこか?と聞いたら12才以下、というところを指差されたり(そしてそれで合っていたのがまたなんとも…。真っ赤なワンピース買ってきたさ)トイレのドアを開けてもらったり(ものすごく重くて開かなかったんてすよ)あちこちで、えっ?子どもが一人でいるわよ、大丈夫?扱いされた旅だったのだから、さもありなん、だが。
その頃は痩せこけていて、150センチで童顔で色気がなくて13才サイズの服を着ていたので仕方ないですが。
で、たぶんいま思うに彼はボランティアガイドで、かつ、大学講座かなにかで日本語を習っていて、使ってみたくてしかたがなかったのではないかと思う。
でも、ミイラありますよ、って…、日本人はそんなにミイラが好きだと思われてるんだろうか…。
まぁ、好きかも…。
科博でこんな展示やるくらいだから。
で、そのあと、何回か行くたびにそのミイラ室を探しているのだが、何回探してもたどりつけなかったのはご愛敬である。
あれは幻か?
いや、確かに見たよ、と思って探したんですけどね。
もしかして、あのときだけの特別展示だったのかもしれないが。