ドナルド・サザーランドが亡くなった。
ドナルド・サザーランドが亡くなった。
キーファーのお父さんね。
「マッシュ」
って、朝鮮戦争に従軍した軍医の話で主役のホークアイ、やってた人です。
あと「鷲は舞い降りた」とかね。
この「マッシュ」の原作は、ほとんど知ってる人いないと思うけど、隠れた名作です。
もう本があっても、図書館の書庫だと思うけど。
ホークアイはメイン州(東海岸の北部の田舎ね。寒くて漁が盛ん)出身。戦場のストレスを緩和するためにいろいろおふざけをやらかすので、この本は一応コメディなのですが、敵味方の区別なく怪我した者は助け、二十歳の若者に目の前で死なれると心が破ける、熱血医師たち(ちなみにホークアイ、というのはアメリカでは超有名な「最後のモヒカン族」という小説に出てくる主人公のネイティブ・アメリカンの名前です。なんでそんな名前なの?と聞かれて、俺の親父が生涯にたった一冊読んだのがこれだった、と答えるシーンがあります。1960年代の物語読みなら日本でも大抵の人が読んでた一冊ですね。まぁ、いまじゃ、マーベルのスーパーマンの1人だと思われるかもしれないけど)の物語。
いろいろエピソードはあるんだけど、私が一番衝撃だったのは、あるピカ一切れる黒人の医者が赴任してきたときに、南部の白人の医者が俺たちのあいだにわだかまり、はないよな?と聞くんです。
そしたら笑って、奴隷だった両親が南部からでるときに、解放してくれた持ち主がこっそり金もくれた、当時としては大金の、その人の名前があんたと同じなんだよ、両親は生涯感謝してた、だからわだかまりは一切ない、って答える場面……。
つまり、その人のお父さんがそうだったってわけ。
1950年代に、そういう白人もいたんだなぁって。
生身で人間くさくて熱くて面白い一冊です。