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(毎月一回の予定です)
ガーナのおすすめ本商会(5)
「岸辺のヤービ」
著者・梨木香歩
画・小沢さかえ
福音館書店
今回は「岸辺のヤービ」という本を紹介します。この本は私のお父さんが読んでみたら?と買ってきてくれた本です。
ちなみにうちのお父さんはいつも本を買ってきてくれます。私が本に興味がなかった頃からずーーっとです。朝起きると机の上に山積みになっていたりして「え、なにこれ!?」
と引いたこともあります。
最初の頃は全然興味のなかった本でも、見た目がきれいとか、箱に入っていて豪華とか、そんな理由で読んでみたり、でも前置きが長くてつまらない!と読むのをやめてしまったり。それでも本を買い続けてくれるお父さんの趣味が私と合ったというか、私が好きそうな本を選んで買ってくれていたのかなぁと。いつからか本は楽しいと気づいてからは、読むのが先か、買ってくるのが先か、と競争になったりしたこともありました。(その頃は、お父さん、本を買うお金大丈夫かな……と心配したこともあったけれど、実は10円の古本だったなんてこともありました)
前置きが長くなりましたが、見た目は大事なんです。この「岸辺のヤービ」も本の装丁がとても綺麗でずっと取っておきたくなる本。昔の箱入りのリンドグレーンの名作みたいな印象です。手にしただけでキュンとする雰囲気なんです。挿絵も素敵で、見開きに地図が描いてあったり、ワクワク要素は満点です。
本のはじまりかたも、ある島で働く人間の男の人についての話から、その男の人が出会った「ヤービ」という小人のような未知の生物についての話で、ヤービから聞いたいろんな話を男の人がしてくれる、、という流れなので親しみやすいし、想像しやすいと思います。私のすぐ隣にいそうな雰囲気で物語が進んでいきます。例えばムーミン谷の話はおもしろいけれど、すごく遠くに感じます。
ヤービはもしかしたら裏の山奥にいそうな感じです。この本を読む子どもたちに、ヤービの存在を否定して欲しくないなというメッセージを感じたりします。
もちろんこういう本が好きな人には大好物な部分もあります! ヤービたちの生活スタイルには、芋虫のスーツを着たり、魚の泳ぐスーツを着て滝を登って行ったりとか、鳩に乗って空を飛ぶとか、そんな幻想的な部分です。そんな不思議な話でも、島に住む人間の男の人が聞いた話という設定なので、唐突な不思議さではなく、人間とヤービの関係も暖かくて、ヤービはその男の人を「歌鳥先生」と親しみを込めて呼んでいるほどです。
この物語に出てくるヤービは、蜂の子を食べたり、虫を食べたりしながら生きているささやかなヤービの生活の中で、私が印象に残ったところは最後の方で「炎の革命家」というヤービがやってくるところです。
どんどん生きているヤービの数が減ってきていて、その原因は人間がもたらした環境汚染なんです。ヤービの住むところが少なくなってきている現実に「どんなに行くのが大変な場所でも人間に汚染されてるところじゃなければ住める!」と、最後に炎の革命家がみんなに話すところが印象深いです。これって、この作者さんが今の地球というか人間を表しているんじゃないかなぁと思いました。人間がリサイクルとかリユースとか温暖化対策とか気配っていると言っても、前まで住んでいたところがコンクリートになったりとか、自然のままの土や木がなくなっていくことが拡大していけば、自然の生き物が住める場所がなくなっていく。人間は環境にいいことを少しでもやろうとしていても、こういう生物にとっては、そうじゃないんだよなぁと感じました。人間はなんだかんだいって、自分たちが住みやすいようにしちゃうわけだし、だけどこの生物にとっては住みにくい環境になっていく、ということです。これって、人間の世界だって同じだと思うんです。いろんな種類やタイプの人がいて、いま出会っている人以外にこれからもっとすごい生き方や考え方をする人とも出会っていくんだろうし、それを否定したり自分のやり方を通してばかりじゃダメなんだろうなとも思えました。
シリーズ2冊目も出ているので、必ず読みたいです!(と思っていた朝、机の上に2冊目が!お父さんが買ってきてくれていました!)
人間関係に悩むガーナでした。
2019/10/09
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booklog.jp/users/akagikanko/archives/1/4834081974