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(毎月一回の予定です)
ガーナのおすすめ本商会(9)
「霧のむこうの不思議な町」
著者・柏葉幸子
講談社
今回紹介する本は、「霧のむこうの不思議な町」です。作者は柏葉幸子さん、絵は杉田ひろみさん……。この本を手に取ってみようと思った理由は、新聞です。最近、朝日小学生新聞を読むのにハマっていて、2020年からスタートした新連載が柏葉幸子さんの「魔女の産家」というものだったのです。その連載の隣に「柏葉幸子さんのファンタジー三部作を読もう」と書かれていて、そのひとつが今回紹介する「霧のむこうの不思議な町」でした。最初、3部作のどれから読もうかなぁと迷いましたが、スタジオジブリの「千と千尋の神隠し」にも影響を与えた日本初の名作ファンタジーと書かれていたので、それは気になる、読んでみたいなぁと思い、インターネットで注文をしました。
これは、夏休みに電車を乗りつぎ、ひとり旅に出るリナが主人公のお話です。お父さんが言っていた「霧の谷」はどこ?と探しても見つからず、森の中で泣きそうになっていると、霧の中から風変わりなかわいい町が現れて、へんてこりんで心やさしい人たちと“めちゃくちゃ通り”という不思議な町の通りにある“ピコット屋敷”という下宿屋で、夏休みのあいだ、生活をしていくという話です。
この物語のいいところは、これまでに読んだことの無い柏葉幸子さんの独特な感じが出ていたところです。何が独特かというと、いままでの私は、ファンタジーとは少し後味が悪く、最後まで不思議に包まれているものだと思っていたのですが、この本を読んで少し考えが変わりました。この物語は、大きなやさしさにふんわりと包みこまれたようで「あの時こうなっていれば……」みたいなことは考えずに、すんなりとリナとめちゃくちゃ通りのみんなの物語へ入っていけました。
もうひとつのいいところは、めちゃくちゃ通りに住む仲間達です。それは、いじわるで、ツンデレなおばあさん“ピコットばあさん”だったり、機関銃のようにしゃべり続けるオウムの“バカメ”だったり、いろいろな仲間たちが、どれもこれも変な奴ばかりなんですが、みんなとってもいい奴だというところです。最初にも書いたと思いますが、この本はファンタジー3部作の1作で、柏葉幸子さんのデビュー作でもあります。
ちなみにそのほかの2作「地下室からの不思議な旅」という話と「天井うらのふしぎな友達」も読みましたが、同じようにやさしい気持ちになれるファンタジーでした。その2作もぜひ読んでみてください。
最近、King Gnuのライブのチケットが当たって喜ぶガーナでした。
2020/02/13