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(毎月一回の予定です)
ガーナのおすすめ本商会(13)
今回紹介する本は、「ワンダー」です。
著者はR・Jパラシオ、訳は中井はるのです。
この本を紹介しようと思った理由は、2つあります。
1つ目は
「ワンダー君は太陽」
というタイトルで映画化されており、ちょっと前から気になっていたからです。
2つ目は、図書館にこの本があったことです。
知ってはいましたが、自分で買うほど気になってはいなかったのですが、図書館の本棚の奥のほうに、お宝のように置いてあったのを見つけて、読んでみようかなぁと思いました。
この物語の大まかなあらすじですが、主人公オーガスト・プルマンは、顔に障害がある以外はすべて普通の男の子です。
そんなオーガストが成長する日常を描いた話です。
この話を聞いただけでは、「よくある話じゃん」
と思うかもしれませんが、この本の良いところは、章ごとに主人公オーガストの第一人称から、オーガストの母の第一人称になったり、友達の第一人称になったりするところです。
なので、オーガストってかわいそうという話ではなく、いろんな人の気持ちや、その上でのオーガストの気持ちなどがわかるような構成になっているのです。
このワンダーという題名ですが、研究者現代英和辞典によるとワンダーという意味は脅威、驚嘆、驚き、不思議、奇観、奇跡、という意味だそうです。
日本語訳の文章には「ワンダー」という単語は出てきませんが、英語版では、重要な言葉になっているそうです。
日本では、ワンダーという言葉を楽しいイメージで、とらえがちなので、ワンダーと聞いた時に本来の意味合いを思い浮かべられたら、読みはじめる時に物語を深く理解でき、より楽しめるなと思います。
私の好きな登場人物は、プルマンの姉「オリビア・プルマン」です。なぜ好きなのかというと、オーガストよりもオリビアの方が大変そうだなぁと思ったからです。
オリビアは最初
「オーガストはかわいそうだなぁ」
とか
「オーガストの方が大変な苦労をしているから私は我慢しよう」
と思っていたり、オーガストは可哀想だから顔のことでいろんなことを言う人に怒ったりするのですが、オリビアがオーガストの手術の時に、オーガストのおばあちゃんの家に遊びに行くことがあり、そこから帰ってきた時に初めて、オーガストの顔を醜いと思います。この部分は、オリビアのこれまでの我慢をしてきた気持ちだとか、本当は自分がどう思っていたのかなどが詰まってて、好きなところです。
顔に障害がある弟をばかりを気にする両親に、本当はもっと私も見てほしいと思っていたことに気づく場面でもあります。
オリビアの章だけではなくて、他の章でもわかるのですが、決してオーガストは可哀想な人間ではなくて、普通の人と同じなんだなぁということがわかる本でした。
オーガストの気持ち以外でも、他の人から見たオーガストやオーガストに対する思っていることなど、普段読んでいる障害を乗り越えるようなよくあるきれいごと系の話ではわからない、もっと大事な人間ぽさを感じられるので、ぜひ読んでみてください。
文字の入力に、いま、苦労しているガーナでした(涙)
2020/07/29