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(毎月一回の予定です)
ガーナのおすすめ本商会(23)
「魔女の宅急便」
著者・角野栄子
福音館書
涼しいと有名な長野でも、やっぱり、夏まっただ中で、暑さを体感しているガーナです。
今回は、そんな夏とはあまり関係のない「魔女の宅急便」を紹介したいと思います。「魔女の宅急便」といえば、ジブリで映画化されたこともありとても有名な作品です。原作について、あえてこの場では紹介してこなかったのですが、最近になり読み返してみて、やっぱりいいなぁと思い今回の一冊にしようと思いました。
ほとんどの人が知っていると思いますが、あらすじは、13歳の少女キキが、海のそばの大きな町に修行に出て、いろんなことを学んでいく、という物語です。話は、キキがまだ幼くして旅立ったところから、一人前の魔女になるまでの成長が描かれており、全6巻となっています。
この本のいいところは、すべてが大きな出来事というわけではなく、普通に思春期の女の子に起こるような事柄からほっこりするような日常を垣間見られるところです。かといって、憂鬱な時があっても、キキがやっている宅急便屋のお客さんの一言で、パッと気持ちが救われたりもします。また、RPGゲームのような感覚で、キキの人生を一つひとつクリアしていく気分になれるとこともいいです。
ジブリ映画では、何かを得るためには、何かを失わなければならない、というメッセージを私は感じ、それは大事だなぁとも思うのですが、小説はかなり違う印象です。魔女でも人でも悩むことは一緒で、それも大体が結構くだらないよね、という感じがして、キキと一緒に私も何かを学べるような気がしてきます。
そんな日々を送り、成長を重ねていろんな悩みを解決していったことにより、空飛ぶ魔法しかできないキキも、お母さんのコキリさんから、くしゃみ薬の作り方を伝授されて作れるようになります。個人的な感想ですが、魔女の絶滅から少しだけ免れた気がして、なぜかほっとするような気持ちになりました。
いくら大きい町でも、やっぱり人の優しさがあって、そこに触れたり、キキがその町で自分の居場所を作っていくのは、見ていて幸せな気持ちになります。そんな、見習い魔女の日常を見たい人や、映画は知っているけど原作は知らない人は、ぜひ読んでみてください。
「魔女の宅急便」とは関係ないのですが、よくレビューにも書いている私の行きつけの本屋さんが、この度、店舗を拡張して、古民家風ブックカフェになるそうです。8月上旬オープン予定が、新型コロナウイルスの感染警戒レベルが上がったため、オープンが遅れるそうで、残念でならないガーナでした。
2021/08/18