LGBTQの本棚から 第4回 いろいろな性、いろいろな生き方
今回ご紹介するのはポプラ社の
「いろいろな性、いろいろな生きかた」
シリーズ三冊です。
それぞれ
①いろいろな性ってなんだろう?
②だれもが楽しくすごせる学校
③ありのままでいられる社会
というタイトルがついています。
1巻の
「いろいろな性ってなんだろう?」
では、まず、LGBTQの基本的なことを教えてくれます。
レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの説明はもちろん、ほかにもパンセクシュアル(全性愛)やアセクシュアル(無性愛)についてまでも……。
ここらへんは、大人でも知らない人が多いと思いますが、本当に多種多様な人がいる、ということが認識されてきたのです。
絵で説明してくれているのでとても分かりやすいです。
2巻の
「だれもが楽しくすごせる学校」
では、学校でセクシャルマイノリティの子どもたちが直面する問題について、です。
例えば男女別に分けられることや制服、そしていじめ…。
ヘテロセクシャルには問題にならないことでも、当事者にとってはとても大きな問題……になることがたくさんあるのです。
そういう問題があることを知ることで、逆に全員が楽しくすごせる学校が作れるかもしれない……。
誰もがありのままの自分のまま、いじめられず、いじめずにいられる場所、は誰にとっても安全で居心地がいいはずですから……。
1巻にも当事者のインタビューが少しありますが、2巻はセクシャルマイノリティとして生きてきた人たちのインタビューを中心に構成されています。
そういう人たちの経験や励ましは、現在それに直面している子どもたちにとっては、そうか、そう考えればいいのか、という気づきになったり、安心させてくれる言葉になりうるでしょう。
セクシャルマイノリティについて知りたい人はもちろん、当事者のみなさんにも読んでもらいたい1冊です。
芸能人のはるな愛さんもインタビューに答えてくれています。
3巻の
「ありのままでいられる社会」
は2巻の舞台である学校から大きく視野を広げて、社会についてみていきます。
学校を卒業すると社会が待っていますが、今の日本の社会はまだまだセクシャルマイノリティが生きやすい環境とはいえません。
が、そのなかでも色々な活動をしている人々が登場しています。
同性婚をした人、セクシャルマイノリティ専門の弁護士さん、セクシャルマイノリティのアイドルグループ…など。
ぼくでも知らない活動家が、世の中にはたくさんいることに、大変驚いた一冊です。
全巻を通して、当事者のインタビューが載っていて、やはり生の意見が聞けるというのは迫力が違います。
また、間にあるコラムでは「性同一性障害特例法」など、当事者に役立つ情報も!
漢字にはふりがながふってあるので、小学生から大人まで読める本かと思います。
ぜひ学校図書館に置いたり、読み聞かせの時間や学校の授業で使ってください!