かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 57 あしもとはカッコよく!

あしもとはカッコよく!   by うどんげ

学校司書になってから、足が疲れてたまらない……。
と、かん子さんに愚痴をこぼしたら、なにはいてる?
と聞かれ、子どもたちと同じ上履きです、といったら、そのせいだよ、といわれました。

学校司書は歩くほかはたいてい立ちっぱなしなのだから、ちゃんとした靴を履かないと足がもたないよ、というのです。

それも
「どうせなら、子どもたちが欲しいな~、と思ってるけど高くてちょっと手が出ないような、今年の流行りのカッコいいスニーカーを履くのよ。」
「図書館司書はカッコよくなくちゃ! みんなに憧れられないと!」

そんなカッコいいスニーカーがどれなのかわからない私は息子についてきてもらい、アウトレットで選んでもらった靴を買いました(当然、息子の靴も買わされました)。
それを履きだしたら、いままで、パンパンになっていた足が、嘘みたいにいきなり楽になったのです。

小さなことかもしれませんが、全然気がつきませんでした。
教えていただいて本当に助かりました。
いい靴は、ブッカーばさみと同じく、司書の七つ道具だよ(司書以外には共感されにくいと思いますが、普通のハサミから初めてブッカーばさみに変えたときの驚きと喜び……切れる!……は忘れることができません)といわれましたが、本当にその通りだと思いました。

“カッコいい憧れられる司書”……になってるかどうかはわかりませんが、履いていった初日に、男子に
「○の靴だ!すっげ~っ!?」
と叫ばれ、みんな、見ているんだな(いままでずーっと、見られていたんだな)ということに初めて気がつきました。

洋服、髪形、バッグからケータイストラップにいたるまで(これも、オススメのアノマロカリスのストラップに変えたところ、やっぱり初日に、アノマロカリスだ!?と叫ばれました。埼玉福祉会で売ってました)すべて“自分がどう仕事したいかの意思表明”なんだよ、といわれ、それ以降いろいろ考えて着るようになりました。それまではなにも考えずに(もちろん、濃い化粧はしないとか、フリルのブラウスなどは着ないくらいのことはやっていましたが)着ていたな、と思います。

「図書館のデザインと自分の存在と服があってなきゃダメなんだよ」

自分自身が、ここの図書館はこういう図書館なんですよ、という宣伝媒体なん
だ……読み聞かせの本選びと同じように、服も、自分が着たい服を選ぶのではなく、相手にあわせ、相手にどのように仕事していくかで決めなくてはならないのだ
、ということがわかりました。

というのは考えれば会社員うなら当たり前のことですが、それがわかっていませんでした。

「子どもは大人と違って、色やデザインに敏感なんだよ」

“ちゃんと作った棚”に子どもたちが敏感に反応しているのを見て、そういうことがどれほど大事か実感した次第です。