【赤木かん子還暦おめでとう企画】 58 かん子さんのこと
かん子さんのこと by H
1 食・健康
数年前に、酷暑の中で勤務校の図書館を改装してもらった。改装のノウハウの凄さもさることながら、なぜか一番に思い出すのは「スイカ」のことだ。「こんなに暑いときはスイカが最適、水分補給にうってつけだし甘味もあるし食塩をかけることで塩分も取れる」、そんなことをかん子さんから教えられた。幼いころからスイカを好きな私だったが、健康を考えて食べたことなどなく、ヘェーと思った瞬間だった。
かん子さんは、柑橘類も好んで食べる、「ビタミンC補給にもとても良い」と。柑橘王国愛媛に生まれ育ったのに、これまた効能など考えなかった私は、このごろ進んで食べるようになった。
かん子さんは自分の身体について、時々「ぼろぼろ」と言う。あれだけ日本中をフットワーク軽く走り回り、著作のために根を詰めることもあるだろうから、さもありなんと思う。だから、健康を維持するために、様々なメンテナンスを心がけるのだと思う。そして、他の人の健康状態にも鋭く気づく。最初に述べた図書館改装で出会ったとき、突然、胴体を引き上げられて、「ここ伸ばさないと内臓悪くなるよ」と言われたときは驚いた。その後「身体がゆがんでいる」と言われ、先日は勧められてボイストレーニングを受けた。こんなに身体が楽になるのだと実感。
2 辛口
かん子さんのコメントは辛口。教員に関する評もかなり手厳しい。「努力している先生もいると思う」と反論を試みると、「いるよ、1万人に1人くらい」と言われ、“オー”と思う。教員出の自分なのに、それ以上抗する材料を持ち合わせない。ちょっと悔しい。それなのに彼女に引かれるのはなぜなのだろう。
かん子さんの知識量は、すこぶる多い。よくもそんなにもたくさんのことを知り次々に出てくるものだと思う。けれども本人は、「情報はあちこちから集められる、たくさん知っているというより構成力に優れているのだ」と言う。
また、「論理的ですよね」と言うと、「そう、でもそれは情緒で語る日本では受けないんだよな」とさらりと言ってのける。
3 コンセプト
自然科学に強いかん子さんに、その方面も勉強したのか聞いたら、「いや全然、でもこのごろ自然科学にしか魅力を感じない、文学おもしろくないんだよ」と言う。
彼女の作る本は、確かにおもしろい。わかりやすい。例えば「ウメ・モモ・サクラ」はその違いと共通点を、明確にかつシンプルに伝える。これも構成の妙かもしれない。「そういう本を作るのはなぜ?」と問うと、「読んだ人が“ヘェー”と思うようなものを作りたいんだ」と答えられて、“ホォー”と思った。
ロジカルな人だが、出す本のコンセプトは「人を引きつける、“ヘェー”と思わせるおもしろさ」、そして、辛口だが、よく気がつき温かい人。加えて、数字には強くないらしい。いいねえ。