かん子の連載

LGBTQの本棚から 第9回 親の視点

今回ご紹介するのは
「アキラ 性同一性障害の子を持つということ」
です。
トランスジェンダーや、当事者の本は今はたくさんありますが、 その”親”の視点から書かれたものは少ないと思います。
当事者の数だけ、親もいるんですが……。

当事者が辛い、苦しい思いをするのはいわずもがなですが、その親御さんたちもまた悩んだり混乱したりするでしょう。
だってずっと息子を育ててきたのに、ある日いきなり娘ですよ、といわれたりするんですから!

僕は親ではないので、はっきりと親の気持ちはわかりませんが、カミングアウトしたときは向こうも何か思うことがあったのではないかと思います。

高校1年生の時、泣きじゃくりながら
「自分は男だ」
と訴える娘をみて、僕の両親は何を思ったのでしょうか……。

幸い僕の両親は僕を否定せず、受け入れてくれました。
それでも、今まで娘として育ててきたことをいきなり方向転換はできなかったでしょうし、たくさん悩んだり戸惑ったりもしたでしょう。
たとえば僕は長女なので、よく
「お姉ちゃん」
と呼ばれていましたが、その呼び方も最初のうちはなかなか変わりませんでした。
今では男の名前の方で呼んでくれるし、誕生日ケーキの名前も変えてくれるくらいまで馴染みましたが……(笑)。

人って自分と同じ境遇や立場の人を探して安堵しますよね。
1人というのは寂しくて心細いですから。
特に自分の許容量を超えた事態が起きたときはそんな気持ちが強くなります。
自分だけじゃない、というのはとても心強いことだし、自分と同じような人を見つければ解決法・対処法も見つかるかもしれません。
”未知”のものに対峙するのは誰でも怖いです……。

もし、我が子が性同一性障害、という”未知”の存在だとわかった人には、寄り添ってくれる1冊になると思います。
アキラという子に向き合った母の話なので、少々偏ったところもあるかもしれませんが、自分と同じ境遇の人が世の中にいるんだ!という安心感は得られるかと……。

そういう立場でなくても“LGBTQ を親の視点から見る”というのは、自分の考えを広げることになるでしょう。

ぜひ一度、読んでみていただきたいと思います。