かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【ブックフェアについて・その2】 

テーマ展示の目的ですが、一つはお客様にいつもは目に触れないような本をアッピールすること、です。
たとえば、離婚、をテーマにすると、大人の本からは法律の本、経験談(エッセーに入りますね)などがきますが、子どもの本からは物語、がたくさん並びます。
特にアメリカは、怪我をしたら絆創膏、というお国柄なので、離婚がブームになったとき(というのも変ですが、1970年代のアメリカは離婚の嵐でした)傷ついた子どもたちのために、ありとあらゆるパターンの物語を提供したのです。
そのうちに一般書でも火がつき、大人の本でも書かれるようになりました。

たとえば
「少年と悪魔と離婚」という小説は、ヤッピーの両親が離婚することになり、財産分与で揉めて毎晩のように大喧嘩する、ヨットはどっちのものだ、車は誰のだ、と。なのに少年のことだけは喧嘩にならない。どっちも欲しいといわないのです。
ひどいっしょ?
😁
それにほとほと嫌気が差した彼は負け知らずで悪魔、とあだ名されている辣腕の弁護士を雇うのですが、さて、悪魔がこの喧嘩にどう決着をつけたか、は読んでのお楽しみ(面白いです)というような小説も一緒のテーブルに並ぶわけです。
そうしてそうでなければこのタイトルが離婚問題がテーマだとはわからないでしょう(ということは、並べる側、つまり司書はそれを知っていなくてはならない、ということになりますね)。

そうしてこういう展示をするときには、3割はお客様が知ってる、あるいは題名でテーマがはっきり伝わる本を入れる、のがコツです。
8割知っていると、この本たちはもう知っている、と思い、素通りされてしまう……、でも9割知らないと、逆に自分には関係がないんだ、と思われて、これまた素通りされてしまう、からです。
3割くらいがちょうどいいのよ。

学校図書館では公共ほど大々的な展示はできないわけですが、こういう“コツ”は他のところでも活きるので、知っておいて損はない、と思います。

2022/10/13 更新