「くまのパディントン展」が渋谷の文化村で始まった。
「くまのパディントン展」が渋谷の文化村で始まった。
私も「くまのパディントン」は大好きだった。
松岡亨子の翻訳が抜群にうまくて。
でも昔からぼんやり気になっていたことがあって、それはパディントンの
「暗黒の地ペルーから来ました」
というセリフである。
ペルーって……暗黒の地、なの?
そんなふうにいわれて、ペルーの人は嫌な気がしないのかな、と思っていた。
それは「ピーター・パン」のアメリカインディアンの扱いだったり、の大英帝国の名残りではあるんだけど、イギリスの20世紀前半の児童文学にはごく普通にでてくる差別と偏見そのままだ(もしかして、まだそのまんまかもしれないけど)。
もっともそういう知識はなかったので、単純にそういうもんか、と思っちゃったし、子どもには、暗黒の地ペルー、というのはわくわくする響きだったのでそれ以上考えなかったんだけど……。
この前初めて、くまのパディントンの発想は、駅で難民を見かけたことからだ、という記事を読んでガテンがいった。
そうだったのか。
なんで、パディントンのおばさんが、わざ、ざ‘‘密航させて’’までパディントンをイギリスにやったのか不思議だったんだけど、そういうわけだったのね。
難民なのかぁ。
でもって、パディントン駅で見つけたからパディントン、とか、そういう安易なノリもちょっとやだった覚えがある。
「冒険だん吉」の島の人たちの背中に数字を書いて1号、2号、と呼ぶ嫌さと同じに……(知りませんか?😄)。
お話そのものは凄く面白いんだからそういうとこちょっと気を使ってくれれば心置きなく楽しめるのに、と昔子どものときに思ったよ。
差別と偏見が入ってると単純に長くもたない……。
その差別が差別だと思う時代になれば不愉快になるし、使えなくなるから。
イギリスの人は、まだ気がつかないかもしれない。
いまだに、エリザベス女王だからね。
でも、日本にいたら気がついてしまう。
というわけで、今の私は手放しでパディントンが好き、とはいえなくなってしまった。
パディントンはいいやつだし、ちょっと鈍いかもしれないけど、ブラウンさん一家もいい人たちなんだけどね。