かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【SFの時代・その2】

ガーンズバックがでてくる前のアメリカのSFは、西部劇を宇宙に移しただけ、のスペース・オペラでした。
その代表作家はエドガー・ライス・バローズ。
代表作は「火星の大元帥ジョン・カーター」で、これはまばたきするあいだに火星に行っちゃったカーターが囚われの王女、デジャー・ソリスを救い出し、火星の大元帥になる、という荒唐無稽を絵に描いたような冒険活劇です(あ、そうそう、ターザンもこの人の作です)。
そうして理系だったので、スペース・オペラから荒唐無稽を抜き、より科学っぽくした(ということは機械がたくさんでてくる、ということですが)E・E・スミスの「宇宙のスカイラーク号」シリーズや宇宙パトロールものの「レンズマン」が、第一次世界大戦から第二次世界大戦までのアメリカのSFだったのです。

そうして子ども時代、これに熱狂し、心酔した人たちが大きくなって作ったのが「スター・ウォーズ」なのです。
惑星サイズの宇宙船は、そのままスカイラーク号……、ダース・ヴェイダーの親玉である、悪の精神生命体もそのまま、スカイラークシリーズのデュケーヌです。

日本でも1960年代に小説読みだった子どもは、のきなみこのあたりは読んでいるといっていいでしょう。
ですから「スターウォーズ」の映画は日本でも熱狂的に受けました。
まさか、デス・スターを自分の目で見られる日が来るなんて、みんな、思いもしなかったわけですから、大感動の嵐でしたね。
日本は手塚治虫がいたおかげで、SFはもっぱら、コミックとアニメにいってしまったので(映画に比べればとてつもなく安上がりだったせいもあります)映画を作る、という発想がなかったのと、ゴジラがバカあたりしたおかげで、映画はウルトラマンのような特撮ものに特化してしまい、普通のSFを映画にしようということを思いつかなかったのだと思います。

60年代は、新しい小説=SFでした。
なので、戦後デビューした、手塚治虫、横山光輝、藤子不二雄、石森章太郎もみな、SF作家なのです。

2023/11/30 更新