☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【SFの時代・その4】
「遥かなる旅路」
1960年代のアメリカの特徴の一つに、宇宙人もの、がありました。
おそらく世界で唯一、アメリカだけ!がなぜか宇宙人が好きなのです……。
イギリスと日本は、人を助ける(&メカ)の「サンダーバード」に、はまったのに、アメリカは宇宙人を探す旅の「スター・トレック」です(で、もちろん友人になるわけですよ。スポックみたいに)。
アメリカは宇宙人にあいたくて月や火星にいくんです。
そのアメリカの宇宙人もののストーリーはだいたい同じ。
私はまわりのみんなとうまくいかない、一人ぼっちだ、なぜだろう?
するとあるとき主人公は酒場で変な四人組と会い、雷に打たれたように理解する。
仲間だ!と。
あなたが周りから浮いてたのはね、宇宙人だったからなんだよ〜。
そ〜なんだ〜!?
なんです。
最初読んだときは、あまりにもご都合主義なので、
ええええっ?
でしたが、本当に一時期は右を向いても左を向いてもこればっかりだった。
ということは、それがどーしても必要だったんでしょう。
このテーマは第二次世帯大戦で大量にヨーロッパから流れ込んできた人たちの子どもがアイデンティティの確立に苦しんだからなのだろうと思います。
というわけで、大量に生産され、消費されたこのパターンは、いまはほぼ残っていず、もう書く人もいません。
ただ、この「遥かなる旅路」を除いては……。
これは好きなSFリストでたいてい1位に輝き、今でも手に入る作品で、作者のゼナ・ヘンダーソンはこれしか書いてないのですが、これだけでSF界のレジェンドになりました。
物語はシンプル。
ある山にある人々が集まって、それぞれ自分の話を語る……。
自分がどうやって同胞と出会い、安らぎと居場所を得たか、という話を……。
そうしてその名も無い人々の話を集大成していくと、ある一族の歴史が浮かび上がってくるのです。
そうしてこの作品がいまだに残っているのは、いまだに自分の居場所がない、と苦しむ人たちがいるからでしょう。
黒人差別やLGBTQやらはいまだに現代のテーマです。
そうしてこれを下敷きにしてスピルバーグが作ったのが「未知との遭遇」なのです。
スピルバーグはオタクなので、彼一人で作ると本当にろくなものを作りません。
「未知との遭遇」もビジュアルデザインはなぎ倒されるほど凄いのですが、中身はなんにもない。
ある同じ夢を見た人々がある山に集まってきて、宇宙船を迎える、という、だからなに?というお話にすり替えられてしまっているので今となっては見られない。
ビジュアルはずっと進歩してしまったわけですから。
ルーカスと組んだのはいまだに現役ですが。
というわけでこの二冊は、SFを読み慣れてない人でも楽に読め、こういう話が好きな人にはおすすめです。
2023/12/28 更新