_/_/_/・_・)o 図書館づくりのエトセトラ・012
【文学の分類・2】
なので、小学校図書館を作り始めたとき、私も
幼年文学(ゾロリとエルマーとくまの子ウーフです)
と
高学年
で棚を作り始めました。
ところが、そうしたら、毎日毎日
「怖い本、どれですか?」
と聞かれるのです。
あまりにも聞かれるので、これを片付けないと仕事にならない。
なにせ時間の半分、怖い本を探す羽目になったのですから。
なぜこんなに怖い本だけ!
聞かれるのだろう?
と考えたのですが、自然科学の本はたとえば蝶の本は表紙に蝶が描いてある。
だから「全世界峨蝶図鑑」というタイトルは1字も読めなくても子どもたちは探せる。
でも怖い本が全部背中が真っ黒ならいいですが、そうでもないし、たとえば「ひとりでいらっしゃい」という題名だけでは、それが怖い本なのかどうかわからないからなのだ、ということがわかりました。
なので思い切って真ん中の書架4段に怖い本を集め、オバケちゃんのイラストを貼りました。
そうしたら!
ものの見事に誰一人聞いてこなくなり、私はやっと仕事ができるようになったのです。
やれやれ
そうして
一度もそのシールの説明をしたことはありませんが、みんな速やかに、おばけの貼ってある本は怖い本だと思ってくれました。
その後、一年生女子に、私が読めるのがどれだかわからないので印をつけてください、と小さな声で言われたのでなるほど、と思い、文字の大きいホラーには、小人さんのマークをつけて下の二段に置き、これでわかる?と聞いたところ、わかる、と喜んでもらえたので、しばらくそうしていました。
でもいまでは子どもたちがかなり読めるようになってきたので、いつのまにかこの読みやすいホラーのマークは必要がなくなり消滅しました。
このホラーコーナーの成功に味をしめた私は、その後
SF
ミステリー
ファンタジー
のコーナーも作ることになります。
そうしてこれは大人の本にも有効でした。
たとえば大人の図書館でも、時代小説コーナーを作るとたいそう喜ばれ、感謝されます。
いままで自分が見落としていた本を探しやすくなるからです。
大人でも……タイトルだけで判断するのは難しいものが結構あり、ハードカバーと新書と文庫を別のところに置いておくと見つけにくくなるのです。
低学年の本、という分類は、いわゆる別置、になります。
そのほうが、いまは便利だから、このテーマで分けましょう、が別置で、児童書そのものがまずは別置なのですが、そのなかでも低学年と高学年の本を著者名だけだ分けていると探しにくくて不便だ、と思ったから、別置にしたのでしょう。
実際、そうすると使いやすい。
でも、こういう別置に、NDCの記号はつきません。
なぜなら別置は生まれ、成熟し、爛熟し、消えていくものだからです。
かつて
ゴシックホラーというジャンルがありました。
お城でなにか怖いことが起きて、若い女の子が、きゃ〜っ!というやつです。
(そこからホラー、ミステリーが分かれて生まれてくるのです。翻訳家の金原瑞人氏が、これの専門家です)全盛期には毎月50冊ほど出ていたそうですが、いまはほぼ残っていません。
大御所の「ジェーン・エア」と「レベッカ」くらいでしょう。
そういうものに記号を与えてしまうとあとあとやっかいなことになります。
ですからジャンルは、別置で、必要になったら作り、必要がなくなったらやめる、ものだと思ってください。
世の中は変わる。
そうすると、図書館の棚も変わるのです。
2023/12/20 更新