かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・1−1】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
タイトルは「司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。」
小話とは言えない😅、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

☆ ☆ ☆ ☆ ☆  

「司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。」
桜李桃梨

1-1)4月1日

私は驚愕していた。
なにこれ?
なにこれ?  
え~~~っ!?

今年、めでたく隣町の小学校の学校司書になり、うきうきと今日、挨拶に来たのだけど……。

事務室で案内を請い、職員室に伺い、司書教諭の先生はあいにく出張でいらっしゃらないということで校長先生と副校長先生にご挨拶をし、さっそく図書館を案内していただけることになったのだけど……。

まず扉が古い、汚い。
サビだらけ。そのまわりの壁や手洗い場も汚い。
壁沿いにズラッと並んでる上靴入れも錆サビで埃まみれ。
いつ掃除したのっ?
って感じ……。
案内してくださった先生はにこにこして当たり前の顔をしていらっしゃるので、私は驚きを顔に出さないように必死にこらえた。
先生がにこやかに扉を開けてくださるとさらに衝撃が……。

部屋が暗い。
電気つけても。
なぜかと思ったら窓際に窓下の低い書架があるんだけど、その上に手作りと思われる書架がずらっと置いてあって窓を全部ふさいでるのよ。
おまけにその上にかかってるカーテンが暗幕!
それもこれまた洗濯なんていつしたんだろう、というホコリだらけのヨレヨレの……。
これ、洗濯したら、絶対裂けるレベルだわ……。
窓、開くの?
館内は教室ふたつ分の広さがあるはずなのに、なぜか狭い!
ゴタゴタと色も形もバラバラな書架が何本も並び、ぎっしり本が詰まっててほこりっぽい上に大きな机が10台も!
きゃ~っ!

学校図書館なんだから、新学年始まったときには子ども達が来られるように開けなきゃいけないのよね?

え~、どこから手を付けたらいいんだろう?

私は息を吸い込むと、案内してくださった先生にお礼をいい、バッグからエプロンをだしてつけた。
今日働くつもりはなかったんだけど、一応持ってきてよかった。
こりゃシャカリキで働かないと間に合わないわ。

もう一回校長室に逆戻り……。
エプロン姿で現れた私に少し驚いている校長先生に
「あのぅ。もう少し広く使いたいのと、ほこりっぽいので、少しお掃除して片付けてもいいでしょうか?」
とお伺いをたてると、校長先生は不思議そうな顔をしながらも
「あぁ、どうぞどうぞ。なんでもあなたの好きにしてくださってかまいませんよ。」
とおっしゃってくださった。
やったー!
今許可もらったよね~?
もらったよね?!
よし!!
これで動けるぞ!!
あまりこだわらない管理職で良かった!

というのはなかには、本は一冊も捨てないでください、みたいなことをいう校長先生もまだまだいらっしゃるから……。
それを言われると困るのよね。
ホントーに困る!
なぜってここ20年くらいのあいだに世界が変わっちゃったから……。

それは県立図書館なら江戸時代の地図だって捨てないですよ。
自分の家が建ってるところが昔は沼だったのか、平地だったのか調べに来る人だっているから。
でも小学校よ?
小学校なら、平成の大合併以前の日本地図はいらない、というか、新しいのがないと小学生が調べたときに間違っちゃう。
だからそういう本はせめて置いておいても書庫、なんだよねぇ。
表からは引っ込めないと。
てか、新しい、今の地図がないと。
いまの小学校、中学校に「東ドイツ」「ソビエト連邦」って本があったらやっぱりまずいでしょう?
「チェコ」と「スロバキア」が別れてる世界地図がいるよね?
世界が動くと本も変わるのよ~。
それにコンピューターが使えるようになってから、自然科学も社会学も考古学もデータが激変してしまって、あらかたの本が使えなくなっちゃって……。

さて……。

とにかく空気を入れ替えよう!
窓を開けて(開いた!)カーテンを開けた。
明るい!! 1ヵ所窓を開けただけで、新鮮な空気が入ってきたよ~。

明るくなったところで、 今のうちに写真を撮っておこう!
もしかして、ビフォーアフターが作れるかもしれないからね。
外からまず、廊下、壁を撮り、書庫、図書館のなかもくまなく撮りました。

さあ、始めましょう!

カーテンを外すのには脚立が必要だから、それは後回しにして……。

窓際書架にぎっしり入っていたのは絵本だった。
見たとこ全然本を抜いてない感じ。
40年前のベストセラーまできれいに並んでいる。
ということは、ここの本はあらかた抜けるから、この窓際の上に置いてある書架は撤去できるな。
よしよし、これは幸先がいいぞ、と私は仕事にかかった。

ダンボールをもらいにいくと、学校のゴミ置場からいくらでも持ってっていいですよ、というので、ホクホクして運び込む。
抜く本をダンボールにきれいに詰め、カウンターの後ろに積み上げた。
司書教諭の先生とまだ話をしてないので、勝手に廃棄はできない。
そもそも、廃棄の仕方がわからないし、ここのパソコンがどうなってるのかもわからないしね。
でもとりあえず、抜く、と……。

2時間ほど脇目もふらずにせっせと働くと、窓のところの絵本は、窓下書架に収まるくらいの分量になってきた。
これでこの書架も撤去できるけど、それも許可をもらわないとできないしなぁ。
ネジで止めてあるから、うちにある電動ドリルを持ってこないと外せないし。

というわけであとはバケツとぞうきんをみつけだし、手当たりしだいに拭いて拭いて拭きまくりました。

というところで一日目は完了……。

というわけでそれから毎日学校に行き、整備に励む日々となりました。

2024/03/28 更新