かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・2-4】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない😅、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

☆ ☆ ☆ ☆ ☆  

2-4 波のように
 
初めての図書の授業から1週間……。
目に見えて、休み時間にくるひとが増えました。
授業の前は平均30人だったのに、今週は日に日に増え、なんと金曜日には60人になるまでに!!
カウンター越しに
「授業の時には、とりあえず借りたい本を選ぶだけだったけど、もっと他の本も見たいと思って!」
と図書館マップ片手に話しかけてきてくれたり
「本が見やすくなったね。いろんな本があったんだって気づいた!」
と、感想を伝えてくれたりー。
その前一週間で常連さんになってくれてた子たちは、すごく得意げに友だちをひっぱってきてくれるし。
でもそのぶん、貸出も返却もうなぎ登りなので、ルーティンの仕事が増え、余分なことはできなくなりつつあります。
各休み時間を支えてくれている図書委員さんですが、これまたとても優秀で、貸出返却はもう彼らに任せて私はもっぱら、この本ありますか?これはどこにありますか?というような各種相談係になりました。
それにしてもこの学校の人たちは手慣れているというか世慣れている、というか、図書館の中を駆け回ったり取っ組み合ったり、つまり図書と関係のないことをする人たちがいない。
よく躾られているというより、もうそういう幼稚なことをしたいとは思わない、普通の大人といる感じです。
図書委員さんたちも飲み込みが早くて私の言うことは一回で理解するし、普通の大人が普通に仕事するように平然と仕事をこなすんです。
休み時間の来館者数を数えて、記録を取ってもらっているんですが、いままでの学校だと、動き回るから数えられない、とか、出たり入ったりされるからわからない、とか、結構パニクられたりしたんですが、ここの子たちは平然としてる。
正確に数えるのは無理でも、だいたいわかればいいんでしょ?と、なぜ記録を取っているのか、という目的をわかって仕事してくれるんです。
で、カウンター(数取器)を100円ショップで買ってきて渡したら大変感謝されました。
(だって初日に見たら「正」の字を書いて数えてたんですよ?それって、あんまりじゃないですか?)
今まではあまりお客さんはいなかったから、手書きでも間に合ってた、と言ってました。
だって記録を見たら、5人とか6人とか書いてあるんですから。
忙しいけどお客さん、たくさん来てくれたほうが楽しいし嬉しいです、と言ってくれました。
当番の人は授業終わった瞬間にすっ飛んできてくれ、息を切らせてカウンターに入って来ると、変わります、と挨拶してくれるんです。
で、こっちもお願いします!とカウンターから出るんですが……。
本当に大人の同僚と仕事してる気分です(笑)。
 
その記録を見ても、明らかに来館者は増えました。
もちろん貸出冊数も伸びてます。
まだ新刊が入ってないので10倍とか20倍とかにはならないですが、とりあえず順調で、胸をなでおろしました。
記録は大事です。
ビフォーアフターじゃないですけど、なんでこうなったか検証したいときには記録しておかないと考えることができません。
やはり増えてる(気がする)という感覚だけだと証拠にもならないし説得力もないし。
一週間たったので、司書教諭の先生と校長先生には、一応報告させてもらいましたが、数字の変化に驚かれていました。
あと、子ども達と一緒に先生が来られることも増えたと思います。
休み時間の様子を聞いて見に来て下さるのでしょう。怒涛のようにお客様の相手をして、あっという間に休み時間は過ぎるので、あまり意識していませんでしたが、図書委員さんが
「先生は来館者にいれるんですか?」
と毎日のように聞いてくるので気がつきました。
そう考えると、この学校の先生がたも、いままでいた4校の学校より断然反応がいい。
それはオープンする前から気がついていたことではありますが、本を読むのは必要、図書館を使うのも必要、というのを説明しなくてもわかっていらっしゃる、感じがします。
なんというか、反応のしかたが的確で、ズレないのです。
さすがに、調べ学習するから、盲導犬の同じ本を40冊揃えてください、という先生はどこからもいなくなりましたが(以前はいらっしゃいました。同じ本を与えて、はい、40ページを開いて~、という授業をしたいとおっしゃるのです。それを、40冊揃えるなら、違う盲導犬の本を揃えて、読み比べないと調べたことにはなりません、ということをお伝えするのに大変苦労しました。私もその時はすごく!若かったですから(笑)。何を言ってる!?みたいなこともよく言われました。そう考えると学校は確かに進化してきてると思います)逆にパソコンがあるのだから、もう紙はいらないし、だから図書館に行かなくてもいいだろう、という先生はどこにでもいらっしゃいます。
でも今の学校ではそういう先生に、一人もお目にかかっていないのです!
若い先生がた(あと、子どもたちも)は、すでにパソコンもネットも単なる機械であって、果てがある(つまりできることもあるけどできないこともある)ということをわかって使っている、と思いますが、30代40代の先生がたのなかには、パソコンは万能だ、と感じていらっしゃるかたが多いのではないかと思います。
前にも、こういう本を探している、とおっしゃってる先生がいらして、国立国会図書館のオーパックにありませんでしたか?とお尋ねしたところ、いや、ずっとネットで探していた、といわれ、驚いたことがありました。
誰かがその本について何かいっていたり、売りに出したりしていれば引っかかってくることもありますが(でもこれも必ずではありません。あるとわかっているのに出てこないのはしょっちゅうです)それよりも図書館の検索を使うほうがはるかに有効で確実に決まっています。
そうか。そういうふうに思ってらっしゃるんだな、これは覚えておかないと、と思いました(ちなみに探していた本は国会まで見にいかなくとも、市立図書館の蔵書検索で見つかりました。良かったです)。
 
2024/08/25 更新