かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・2-8】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない😅、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

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2-8 りクエスト④
 
リクエストカードはすっかり定着しました。
書いてもらったリクエストカードは、貸し出し返却がすみ、みんなが読書を始めて静かになったところで私がパソコンのシステムに入力します。
この学校は、パソコンで図書館システムを管理しているので、個人の名前を打てばその人が何をリクエストしているのかがわかるようにできます。
もちろん、そのタイトルを打てば、誰がリクエスト、しているのかもわかるようになっています。
子どもたちにもリクエスト制度の説明の際にこれを説明したのですが、さすが、いまの子どもたちなので、すんなり理解してもらえ、リクエストが増えるにつれて
「先生!ぼくこのシリーズの何巻をリクエストしてますか?」
「私、前に○○をリクエストしたと思うんですけど……」
というような問い合わせも来るようになりました。
「リクエストした本が来ないんですけど……」
ということも……。
ムムッ….
その場で調べると、15人待ちに……。
ありゃ、それは来ないわ……。
できるだけチェックはしているのですが、ある本に急に人気が出た最初のときに見逃すことは多いです。どう頑張っても現役の人たちにはかないません。リクエストは子どもたちがくれる最新情報でもあるのです。
 
そういうふうに急激にリクエストが増え、あ、火がついたな、この本、というときがあります。
この辺の加減が大変難しく、ほとんどの公共図書館や学校図書館は一冊しか買わない、と決めていることが多いのですが、私はそれは違うと思っています。
この話題になると、そんな、無尽蔵に買えません、という人がよくいらっしゃるんですが、そんなふうに火がつく本なんて年に何冊もありません。もっと欲しいくらいです。
確かに予算の少ない学校図書館ではそういう考え方も仕方がない、と思いますが、読みたいのに読めない、というのもそれはそれで違うだろうと思うのです。
何回か経験して、今ではだいたい200人に一冊、を目安にするとだいたいまわる、ということもわかってきました。
つまり、いままさに人気になった本に関しては、200人に一冊、と思って、この学校は600人超えですから、あ、これが今年の本か、と思ったら、はじめから3冊買ってしまうのです。
なんというか、いつも棚にない、で一冊買った本がボロボロになってから(小学校では新刊でも4ヶ月でボロボロになることがよくあります。それだけ読まれるので)渋々次の本を買う、というのは仕事の手順として違うだろうと思うのです。
仕事は後手にまわるのではなく、先手先手、と打つべきでしょう。
それにそういうふうに人気が出るものは、たいてい千円前後の安い本が多いので、たいしておサイフには響かないことが多いのです。でも効果は絶大です。
ですから、その本に関してはあわてて発注しました。
 
そうして人気はいつか衰えますから、そうしたらボロボロになった本は、貸し出し冊数を稼いでくれて、ありがとう!!と廃棄すればいいのです。
その時、それが定番になっていれば新しいのを一冊買います。そのままフェードアウトしていくのなら、もう買いません。
以前はこれを紙と鉛筆を使って書き出していたので結構大変だったんですが、いや、コンピューターシステムは便利ですね。
パソコンが使えるようになってから、こういう作業は本当に楽になりました。
そうして、そういう安い本に関しては、公共図書館にはリクエストしないようにしています。
学校でブームになってる本は、たいてい、世間でも人気になっている本です。
公共は学校より抱えているお客様の数が多いし、広範囲のお客様(子どもの本でも大人の方が借りて帰られることもよくありますから)に貸さなければなりませんから余力はありません。
学校図書館はそういう部分は自分でカバーするべきではないかと思うからです。
その代わり、学校では高くて買えない専門書は容赦なく借りさせていただきますが。
 
2万円もする社会学の調べ学習の本なんて、学校にはとうてい手が出せませんですからね。
 
そうやってブームが去って一息ついて、新しい本を入れると
「この本読みたかったけど、ブームが去るのを待ってたんだ!」
とホクホク顔で借りていく人もいたりするので、うーむ、この仕事は奥が深い、といつも思います。
 
2024/10/24 更新