かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・2-9】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない😅、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

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2-9 発注

さて、今年最初に買う本のリストを作らねばなりません。
まず先生方に全教科、教科書を借りて、目次をカラーコピーしたものを学年ごとに作りました。
これで、今年何を勉強するのかだいたい把握できます。
教科書そのものを買えればいいのですが、正直そこまでの予算はないので苦肉の策です。
先生によっては、来週やる授業で使う本を相談にいらっしゃる方もいて、そういうときは目的、とかどういう本が必要か教えていただけますが、そうでないときでも子どもたちは本を探しに来るので、必要なときには先回りして公共図書館から借りてこないとなりません。
でもできるだけは学校側でも準備しておきたい。なので、授業で使いそうなテーマの本が棚にないときは探してリストに入れないとならないのです。
もう一度目のレクチャーが終わりましたから、しばらくは図書の授業は読書と貸し出し返却だけです。
目次のコピーを持ってせっせと棚を周り、テーマに沿った本がどのくらいあるかを調べ、買う本リストを作るのです。
それからリクエストされた本、人気シリーズの新刊、廊下の文庫本リストで○がつき、買うことにした本、先生方の購入希望リスト、季節の展示で使う本も12ヶ月分、テーマを決めて本を探します……。
今回は6月の展示に使う“カタツムリ”の本と秋の展示に使う“紅葉”がなかったので、それぞれ2冊ずつリストに入れました。カタツムリは今年は間に合うかどうかわかりませんが、来年また使えますから。
各出版社の新刊サイトなども見ます。
今回はだいたい30万円分、のリストを作りました。
これから毎週10冊ずつくらいは買い足していきますので、まずは足固めの本を……。
この学校では発注リストに司書教諭と管理職の押印をもらう方式だそうで、なんていわれるか少しドキドキだったのですが、どの先生も
「押印をお願いします」
と言うと、ざっと見てすぐに押してくださいました!
え?!
私としては細かく
「この本はリクエストが多かった本の複本で……」などと説明する気まんまんだったのでちょっと拍子抜け。私の驚いた顔を見て、司書教諭の先生は
「あれだけリストとか掲示してもらっているんだから、このぐらいは当然いるでしょう」
といってさっさと何ヵ所も押印してくださいました。管理職の先生方も同じで、これは放任ではなく、お互い忙しいのだから、信用している相手には仕事を任せるのだ、という雰囲気が伝わってきました。
ありがたいです。
押印をもらったリストは早速書店さんにメール……。
私は初めての書店さんなので「初めまして」のご挨拶と一緒に発注完了……。
発注した本が届くのは、早ければ一週間、遅ければ2ヶ月かかることもありますので、ある程度集まったら持ってきてもらいたいことも書き添えました。
そうして廊下の文庫本のポスターに
「発注しました」
のはんこを押しました。
早速次の休み時間に廊下から
「やったー!」
「ギャー!」
という叫び声が……。
 
とりあえず今回は○がついた本はすべて注文しました。
子どもたちに、図書館にはいえばなんとかなるんだ、と思ってもらいたい。
そう思ってもらえない限り、なにも注文はされませんから。
ですからリクエストはできる限り応えたいと思うのです。
図書館は自分たちの意見を聞いてくれる、考えてくれるところだ、と思ってもらいたい。
なんといっても、学校図書館は、子どもたちのためにあるのです。
みなさんが主役で、みなさんのために、みなさんと一緒に図書館をやっていくのだ、と思ってもらわないとなりません。
 他の業務もみなそうですが、そういう意味でもリクエストはとても重要なシステムだと私は思うのです。
 
2024/11/14 更新