かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・3-1】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない😅、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

3-1 新刊
 
今日の三時に新刊が来ました!
まだ発注しただけでお目にかかっていない書店さんが、挨拶も兼ねて、とわざわざ4階までダンボールを抱えて上がってきてくださいました。
なんてありがたい。
名刺を交換し、何度もお礼を言って、二人で伝票と本の突き合わせをしました。
前の前にいた市では本が来ても市教委の方がチェックにくるまでは開けられず、それだけで一ヶ月遅れたこともありましたが、この市はそういう無駄なことが本当にないのです。
なにかあるとすぐ討議されてすぐ改善される……のだろうということがあちこちで見受けられますが、図書館もそうなのです。
本当に有能な市です。
発注したものが全部揃わなくても一箱になったら持ってきてください、と言ってあったので何が入ってるか、楽しみ。
この市は毎週のように買えるので、始まってしまったら今回は10冊、ということもあると思いますが、年度初めはそこそこまとめて買うので箱になります。
これも、前の前の市では一冊残らず揃うまで書店が持ってくることを市教委が許さなかったので(理由はわかりませんが)新刊がくるのはたいてい8月になってからだったので、本当にこの市の賢さが身に沁みます。
何度もお礼をいい、何冊か来ないかもしれない本の情報を突き合わせて、書店さんがお帰りになると、さっそく本の装備に取り掛かりました。
毎回、これが一番心躍る瞬間です。
まだまっさらの本に触るのはいつでも心躍ります。
発注のときに、発注する本に合わせて作っておいた分類シール(NDCの書いてある三段ラベルです)とバーコードを貼り、その上からブックカバーをかけます。
公共図書館の本を借りると透明なカバーがついてますよね?
あれです。
司書はたいていブッカーと呼んでいます。本当はホッチキスやセロハンテープとおなじ商品名なのですが、それで定着してしまいました。
普通はここで学校印を押して受け入れの日付を書くのですが、この学校ではそれもやらなくていいと司書教諭の先生に言われ
「えっ?いらないんですか?」
とびっくりして聞くと
「バーコードに学校名は書いてあるんだから、もうそれもいらないでしょ」
とおっしゃられました。
おお、斬新……!
確かに、ブッカーの下に貼られたバーコードなら、剥がすためには切り取らなければなりません。
「今どき、古本屋に本売ってもお金にならないから、盗まれることなんてないわよ。ブッカーがかかってる時点でもう売れないでしょ」
 
確かに!!
学校の本を古本屋に持っていっても、売れる時代ではありません。
受け入れする前の新品ならともかく、ブッカーかけてしまったあとは……。
 
なんて合理的な学校なんでしょう!?
その作業だけでもなくなるとかなり助かります。
 
ブッカーをかけるのはかなり面倒な仕事ですが、これは抜くわけにはいきません。これをかけるのとかけないのとでは、3倍以上、保ちが違うのです。
そういうわけで子どもたちが帰ったあと、せっせと作業していたのですが、4時になったら、司書教諭の先生が
「前にもブッカーかけていたから手伝うわよ」
と来て下さいました。
なんと、もう一人の先生も連れて……。
それがまたお二人とも手際よく、きれいにかけてくださるのです。
なんでも、前から図書館担当の先生方はブックカバーをかけていらしたそうで、何人もできる先生がいらっしゃるとか……。
え~?!
すごっ!
優秀な先生方のおかげで、70冊ほどを一時間でかけ終えることができました。
あとは、明日、登録すればみんなに貸し出せます。
 
2024/11/28 更新