かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・3-4】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない😅、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

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3-4 新刊その後

新刊を出したあとは毎日がめまぐるしく過ぎていきました。
試し読みの二週間は満員御礼状態でしたが、貸し出しが始まり、通常の図書の時間が戻ってくれば、図書の授業そのものは図書館情報学を月に10分、残りの3回は読み聞かせを10分するだけで、そのあとはみんな没頭して読みだすのでなんの問題もないのですが、休み時間は人が押し寄せてくるので毎日のリクエストの処理と貸し出しと返却、棚の整理が……。
 
貸出を始めたときは、ほとんどの本にリクエストがついてます状態だったので、毎日放課後返却手続きをすると、リクエストされた本は音がなるので次にリクエストした人の名前をはさみ、リクエスト用のブックトラックに乗せ、お知らせの手紙を書く、という仕事をしなくてはなりません。
リクエストは、始めると大変な仕事量になるので嫌がる司書も結構いるのですが、私はこれは通常業務だと思いますのでやるのは当然、と考えています。
そうして書いた手紙を翌日の朝、そのクラスの図書委員に渡すというサイクルになりました。
なので、最終的には毎朝、全員図書委員集合、となりました。
朝、図書館に来るのは本来は新聞当番の人だけだし、手紙の受け取りには各クラス、1人来ればすむのですが、この学校の生徒さんはみな、目端が利くというか賢くて、私があたふたしているのを見て自主的に当番でない人も毎朝来て手伝ってくれるようになったのです。
ある人はブックトラックに山積みになっている返却された本を棚に返しに行き、ある人はその棚の整理をせっせとし、ある人はテーブルを拭き、テーブルクロスのセットをやり直し、という具合に、私が何も言わなくても必要だと思うことを自分で判断してやってくれるのです。
本当にこんな学校は、初めてです。
返却された本のうち、新刊は「新刊」とパネルサインを置いた机に置いておきます。
そうすると子どもたちも先生がたもパラパラとめくって見てくれるからです。
借りなくても手にとって見るのは大事……。
 
毎日の図書の時間にはそのクラスの返却と貸し出しとリクエストが行われ、みんな口も聞かずにやるので静かは静かなのですが、仕事は山積み……。
もちろん長休みと昼休みはリクエストした本を取りに来て借りる子どもたちで芋洗い状態となるわけで、この時間も当番でない図書委員たちが何人も助っ人に来てくれるようになりました。
 
そうして新刊を出した辺りから、子どもたちに話しかけられることがとても多くなりました。
今までいたどこの学校でもそうだったんですけど、子どもたちに声をかけてもらえるようになるのには時間がかかるんです。
だって、休み時間に図書館に来ない人とは週に1回しか会わないんですから。
普通、声をかけてくれる人は常連さん以外は少数……。
 
でも新刊出したり、リクエストの本のお知らせを配るようになると、たくさんの人が声をかけてくれるようになります。
学校司書は、こちらから話しかけることはもちろんですが、お客様に話しかけやすいって思ってもらえることがすごく大事なのです。
だって、話しかけにくい人がいる場所に、普通のは行きたくないと思うでしょう?
 
なので子どもたち全員の名前を覚えるのも、すごく大事です。
前の学校で
「いつも自分の名前を呼んでもらえるのが嬉しかった……」
といわれたことがあって、あぁ、子どもってそうなんだなぁ、と思い、それからは意識して覚えるようになりました。
ここは600人いるので、今のところかなり苦戦していますが、貸し出しのときに1人ずつ名前を確認して貸し出すことで覚えていくようにしています。
学校図書館は、その学校に通うすべての子どもがかけがえのない、大切なお客様なのですから。
 
2025/01/09 更新