かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・3-6】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない😅、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

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3-6 いろいろ②

何日かたって、今年新しく注文したLLブックや点字絵本が一斉に届きました。
書店さん、す早い仕事、いつもありがとうございます。
LLブックというのは、スウェーデン語の「やさしく読みやすい(ラッテラースト)」の頭文字で、文字が読みにくいひとのための本です。
書体もユニバーサルデザインや丸ゴシックだったり、ふりがながついていたり、分かち書きだったり……。
なかには文章に絵文字や写真やイラストをつけてわかりやすくしたり、といろいろ工夫されている本ですが、たとえばバイロン・バートンの「はたらくくるま」や「うちゅうひこうしになりたい」のようにいままでに買った絵本の中から、古い本をLLに移したものもあります。
丸ゴシックで1ページに一行しか書いてない絵本、などは読みやすいですから。
そうすると、読まれなくなった本でもまた読まれ始めたりするんですよね。

最初「読みやすい本」というコーナーを作ったら、バカにするな、と怒られるかもしれないと思ったのですが、やってみたらまるっきり逆で
「オレ、ここの本なら読めるんだよ!」
と誇らしげに言ってる子がいて驚くと同時に、あぁ、いままで申し訳ないことをしたな、と心から思いました。
考えてみたら今までも読書の時間になかなか読む本が決まらず、途方に暮れたような顔をしてうろうろしてる人が何人もいたのです。
でも、私は単純に、そういう人はただ単に好みの本が見つからないだけなのだ、と思ってしまい、これは?これは?と好きそうな本を勧めたりしていたのです。まさか、文字そのものが読みにくいのかもしれないだなんて、思いつきもしませんでした。

LLブックも点字つきの本も、子どもたちには魅力的な仕掛けの本、に映るようで、障害があろうとなかろうと楽しんでくれる、というのがわかりましたので、こういうジャンルの本は学校図書館に置いておきたい本だと思うようになりました。

今回買った中の一つは『ともだちってどんなひと?』(赤木かんこ/著・埼玉福祉会)という本で、これは知的障害の人のために書かれたもので、単なる知り合いを友だちだと思い、騙されてしまうので、知り合いはイコール友だちではない、ということを伝えるのが目的なのだそうですが、あなたの悪口を言う人は友だちではありません、というシンプルさで読み聞かせにも重宝しています。
初めて読んだときに、5年生の子が、えっ?そう思っていいの?といって凄くショックを受けていたのがこちらにもショックでした。
そうしてこの本の絵を描いている濱口瑛士さんは文字は読めるが書けないディスレクシアで、文字は書けませんが絵の才能は素晴らしく、それも子どもたちにいうと
「凄いね!」
という声があちこちから聞こえてきます。
この学校でも読み聞かせに使わせでもらおうと思っています。
点字絵本も大人は点字の本は自分の本ではない、とはじめから思ってしまいがちですが、子ども用の点字の本は目の見える子にも使えるように作られているものが多いので、子どもたちにはちょっと変わった本にしか見えないのでしょう、結構人気なのです。
今までの学校でも特に人気だったのが『さわるめいろ』(村山純子/著・小学館)、『さわってたのしむどうぶつずかん』(ドーリング・キンダースリー社編集部/企画・編集・BL出版)でしたので、ここでも発注しました。
『さわるめいろ』は凸凹の浮きでたラインを指でたどっていくめいろで、みんな夢中になっていました。
また『さわってたのしむどうぶつずかん』は、外国の本ですが、どうぶつの毛並みがさわって楽しめる本で、これまた子ども達に大人気でした。
借りて帰った子ども達によると持って帰ってお家のひとに見せたら、大変感心されたそうです。
この学校のみなさんにも喜んでもらえるでしょう。

学校図書館にはいろんな本を取り揃えるように心がけています。
これも来週、テレビ読書の時間(週に一度お昼の時間の放送です)にみなさんにご紹介して、貸し出しを始めようと思っています。

2025/02/06 更新